2024年11月2日より劇場公開される、外資系コンサル企業社員の異色経歴を持つ池田健太監督作「STRANGERS(ストレンジャーズ)」から、本編の冒頭映像が公開された。
映像は、何者かに刺されて倒れる人物をのぞき込む群衆のシーンから始まり、続く家族との会食シーンでは、求められる娘像や世間体とのギャップが描かれる。現実感と非現実感がコントラストを見せるファーストショットとなっている。
「STRANGERS(ストレンジャーズ)」は、現代社会に潜む甘い罠と不安の渦の中で、自分自身を見失っていく女性を描く心理サスペンス・スリラー。婚約者の浮気を知る直子は、不思議な魅力をもつ同僚の山口紗季にみちびかれてマッチングアプリを始める。 さまざまな男と出会い金を受け取りながら、かりそめのデートを繰り返す直子は、日に日に派手になっていく。 自分自身の姿形が次第に山口に似てきていることに気づき動揺するも、やめることができない。そうすることで不安も取り除かれていると錯覚する直子は、次第に自分自身を見失っていき、さらなる不安の渦に沈んでいく。
本作が長編デビューとなる池田健太監督は、大阪大学基礎工学部でコンピューターサイエンスを学び。中退後は単身アメリカに渡り、カリフォルニア州立大ロングビーチで映画学・脚本を学んだあと、岩井俊二監督に師事。現在は大手外資系コンサルティング企業で働きながら、脚本家としても活動している。主人公の直子を演じるのは、「夜明けまでバス停で」「菊とギロチン」などの大西礼芳。濱口竜介監督作や黒沢清監督作に出演する玄理が、直子にとってのファム・ファタール〈魅惑する女〉となる山口紗季を演じる。ほかに、柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、岩瀬亮らが顔をそろえている。
一足先に本作を鑑賞した、著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■黒沢清(映画監督)
後ろ姿が恐い。静寂が恐い。掛かっている服が恐い。
そしてまわりの人はみんな恐くなる。これぞまさに現代ホラーのスタンダード。
■菊地健雄(映画監督)
現代を生きる我々が抱えている孤独や不安をまざまざと見せつけられ、気がつけば戦慄しながらも無我夢中で見終えていた。人の隙間にさらりと滑り込んでくる悪意の集積回路によって、うっすらと漂い始めやがて醸成されていく狂気。その白昼夢のようでありながらも実感のともなうザラリとした手触りを映画館の暗闇で息を潜めながら感じてほしい。
■マツヲ(ホラー映画、残酷映画紹介YouTuber)
『STRANGERS』は現代社会の孤独な人間の心がぐちゃぐちゃと変容する、まるでボディホラーのような恐怖がある。周りの求める″自分″でいようとするあまり自分が何者かわからなくなり、道も見えなくなり消えそうになる。それなら変容したっていいんじゃないか…?今にも崩れそうな状態の中、不安は常に付き纏う。不気味だ…ありふれた日常のはずなのに不穏……この映画、なんかずっと怖い!!
■大島てる(事故物件サイト管理人)
いい意味でこわくない、さわやかでテイスティな映画だと感じました。
ホラーと言われただけで避けてしまうような人こそ観てほしいです
■宮岡太郎(映画監督/映画レビュアー)
自己と他人の境界が次第に曖昧になってゆく。これは現代社会のひずみの中で自分を見失ってゆく女性の姿を描いた、心理スリラーの最新形態。映像や音の細部にまで仕込まれた違和感の数々。観客の不安を絶えず煽り続ける物語展開。難解な役柄を的確な解釈で演じ切った俳優陣の芝居の凄さ。劇場でこそ得られるこの観賞体験は圧巻である。
■宍戸里帆(AV女優)
携帯が鳴る、お金を貰う、カーテンで仕切る、髪を染める、服を縫う、唇を重ねる、水が湧き出す、花を買う、捕まる、零れる、割れる、散る、刺す、待つ。世界は、変化していく。映画は、加速していく。私は、何者になっていく?
■テラシマユウカ(GANG PARADE)
憧れと執着、自身の変化に翻弄され自我を見失う新感覚の恐ろしさが纏わりついてくる。これは現代的で身近に存在する人間ドラマだ。宙に浮いたアイデンティティはどこにむかうのか?水色を目にするたびに心がざわっとする。終始不穏で冷ややかな空気は油断したら最後、狂気に呑み込まれてしまう。
■岩永祐一(SAMANASA代表)
夢かうつつか、知れば知ろうとするほど目の前が混沌としていく。
わたしとはいったい何者なのか。
新しい時代のホラーが日本から生まれたことを嬉しく思います。
■中村淳彦(ノンフィクションライター)
今、現在進行形で真面目な30代女性たちが、どんどんと闇落ちしている。現状では種の状態の社会問題を、きっちりとテーマにしているのが素晴らしい。「直子はアナタ自身であり、自分を見つけるまで不幸は続く」という新しいホラーである。
【作品情報】
STRANGERS(ストレンジャーズ)
2024年11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて順次公開
配給:impasse
© impasse
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