安倍元総理銃撃 映像に“警備のほころび”…涙の選挙戦 自民党圧勝も“笑顔なし”【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年7月11日)

ゴシップ
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 10日、山上徹也容疑者(41)が殺人容疑で送検されました。

 山上容疑者:「殺そうと思ってやった」

 押収された車からは、アルミ箔(はく)に包まれたトレーと、複数の木製の板が見つかりました。

 山上容疑者:「火薬を乾かしたり、試し撃ちに使った」

 複数の木製の板は、厚みがあり、すべてに弾痕とみられる穴が空いていて、貫通していたものもありました。

 さらに、事件当時現場に止まっていた選挙カーの看板部分からは、銃弾の痕が数カ所見つかりました。

 安倍晋三元総理:「皆さん、こんにちは。安倍晋三でございます」

 山上容疑者は、安倍元総理の背後から発砲。選挙カーは、安倍元総理から十数メートル離れた場所に止まっていました。飛距離などから、その威力の大きさがうかがえます。

 凶器に使われたのは、2本の筒を黒いテープで巻いた手製の銃です。

 山上容疑者:「元々、爆弾を作って殺すつもりだった。実験してみたら、自作の爆弾では殺せないことが分かった。それで銃を作り始めた」

 爆発物処理班も出動した家宅捜索は、自宅から手作りの銃が複数押収されました。

 山上容疑者:「一丁だけではなく、複数作っていて、今年の春ごろにはできていた。自分で作り方を調べて部品を買い、火薬もネットで購入した」

 今回の犯行は、準備を重ねた計画的なものだった可能性が高いといいます。

■現場処置の医師「かなり悪い状態」

 事件発生直後、現場に駆け付けた医師は、次のように話します。

 中岡内科クリニック・中岡伸悟院長:「AEDをやるということで、テープを貼る動作に入っていたんですけど。『AEDをする適応ではありません』という自動音声のメッセージが流れたので。これは、かなり状態が悪いっていうか、心停止の状態だなという確認にもなりましたので。すぐさま、それ(AED)を置いておいて、心臓マッサージを再度始めました」

 その後、ドクターヘリで病院に搬送された安倍元総理。午後5時3分、死亡が確認されました。

 死因は、鎖骨の下の動脈が損傷したことによる失血死。弾丸を受けてできた傷は、少なくとも2カ所あり、そのうち1つが致命傷になったといいます。

 中岡内科クリニック・中岡伸悟院長:「最初の状況から判断すると、そのような結果になってしまったかとは思いましたけど。やはり、つらい。胸を締め付けられるような思いをしました」

■銃撃死…映像捉えた“警備のほころび”

 選挙戦の演説中、多くの聴衆の前で行われた凶行。奈良県警のトップが警護態勢の不備を認めました。

 奈良県警察本部・鬼塚友章本部長:「今回の安倍元内閣総理大臣の警護・警備に対する問題があったことは否定できない」

 なぜ、安倍元総理への銃撃を許してしまったのでしょうか。

 様々な角度から撮影された映像で、警護態勢と容疑者の動きを検証。浮かび上がってきたのは“警護のほころび”でした。

 安倍元総理の演説が始まったのは、午前11時30分ごろ。背後には、聴衆に紛れて拍手する山上容疑者の姿がありました。

 安倍元総理:「皆さん、こんにちは。安倍晋三でございます」

 安倍元総理の斜め後ろには、警察官が1人。背後を監視していますが、容疑者のいる方向とは逆を見ています。演説が始まってから1分17秒。容疑者が画面右方向に移動。安倍元総理の背後に向かいます。

 容疑者が移動を始めてからおよそ1分。映像は、弾丸とみられる黒い物体を捉えていました。警察官が、容疑者の存在に気付きます。

 しかし、3秒後に発射された2発目も防げず、これが致命傷になりました。演説開始から犯行までの時間は2分17秒でした。

 この映像を分析したオバマ大統領や就任前のバイデン大統領の警護を行った“要人警護”のプロは、次のように話します。

 米民間警備会社・ボムベースCEO(最高経営責任者):「容疑者が近付いてきて、拳銃を構えるまでに、十分に時間があったはずなのに、誰も動いていない。誰もです」

■銃撃の瞬間…なぜ背後に近付けた?

 なぜ、山上容疑者は安倍元総理の背後に迫ることができたのでしょうか。

 これは、先月30日に愛媛で行われた街頭演説の様子。安倍元総理の真後ろには、2人の警護担当者が背中合わせで周囲の様子を確認。さらに、選挙カーで背後には近付けないようにしています。

 しかし、今回の演説では、安倍元総理の周辺にあるのは、低いガードレールのみ。別の角度から撮影された映像でも、真後ろで警護をしている人の姿は確認できません。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「誰もが歩いて、元総理に近付けてしまいます。この場所選びはよくない」

 一方、奈良県警は今回の演説場所について、次のように説明しました。

 奈良県警察本部・鬼塚友章本部長:「今回の警護の場所については、これまでもよく選挙遊説などで使われている場所でありますので。場所については、警護員のほうで十分に理解している場所でございます」

■左上腕と首に命中…「邪魔はできた」

 安倍元総理を警護していたのは地元の奈良県警の警察官に加え、警護のプロである警視庁のSPでした。

 果たして、要人警護を任される人たちは、どんな訓練を行っているのでしょうか。

 去年6月、東京オリンピックを前に、警視庁が行った訓練の様子です。赤いネクタイを締め、黒いかばんを持ち要人を取り囲むように警護するSPがいます。

 すると、次の瞬間、拳銃を持った犯人役が襲い掛かると、SPは要人に覆いかぶさり、防弾機能のあるパネルが入った黒いかばんを盾に、拳銃を使った凶悪事件から警護対象者を守ります。

 そして、犯人役の身柄を拘束する間に、他のSPが要人を安全な場所へと移動させていくのです。

 今回、安倍元総理が銃撃された時の警察官の動きを見てみると、2発目の発砲に対し、黒いかばんを盾に安倍元総理を守ろうとしていましたが、銃弾は元総理の左上腕と首に命中しました。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「少なくとも、銃口と元総理の間に入ることはできたはず。映画のように簡単には行かないと思うが、少なくとも発砲の邪魔はできたはずです」

 さらに、専門家は指摘します。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「ここを見て下さい。警察官全員が、容疑者のほうに向かって走っています。容疑者は、すでに取り押さえられているのに、こんなに大勢は必要ありません」

 上から撮影された映像を見ると、山上容疑者を取り押さえている場所に向かって、4人が走っている姿が確認できます。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「容疑者の場所に集中しすぎていて、次の脅威を見逃しています。複数犯で銃を持っている不審者が他にもいたらどうします?」

■山上容疑者の素顔…高校で応援団所属

 山上容疑者は取り押さえられた際も、抵抗することはなかったといいます。

 現場に居合わせた女性:「冷静な感じ。撃った後も、取り押さえられている時も、抵抗せずにじっとしていた」

 なぜ、山上容疑者は凶行に至ったのでしょうか。

 中学時代の同級生:「山上君はすごいバスケもうまいし、優等生だし、勉強もできるし。性格的に、そういうことをするタイプの人間じゃなかったんで。(事件が)起きてしまったからには、僕が知らない一面があったのかなと」

 周囲から尊敬されていたという山上容疑者。高校では、応援団に所属していました。

 高校の同級生:「寡黙でおとなしいので、応援団をやるようなタイプには見えなかった。しゃべっているところも見たことない」

 警察関係者によると、高校卒業後は3年間、海上自衛隊に所属。そこで、銃の扱い方を覚えたといいます。

■容疑者 職場でトラブル「お前やれや」

 そして、2年前から今年5月まで、京都府内の倉庫でフォークリフトを使い、荷物を運ぶ作業をしていました。

 工場の責任者の男性:「就職した直後は、正しい敬語を使える常識的な人だという印象」

 しかし、仕事を始めてから半年後、勤務態度に変化があったといいます。

 工場の責任者の男性:「手順通りの仕事をだんだんしなくなってきた。ルーズな人かなという印象を徐々に受けていった」

 さらに、今年に入り、職場でトラブルを起こすこともあったといいます。

 工場の責任者の男性:「手順通り作業してくれということを、同僚が山上に申し入れたところ、『それやったら、お前やれや』と口頭で反抗されたと」

 その後、体調不良を理由に休むことが多くなり、5月に仕事を辞めたといいます。

■前日にも演説会場へ…“しつような”理由

 「手製の銃を作っていた」と供述している山上容疑者。事件現場から直線距離で3キロほどにあるマンションに住んでいました。

 事件の3日前に、エレベーターですれ違った同じマンションの住人は、次のように話します。

 同じマンションの住人:「(山上容疑者が)降りてこられて、あいさつ交わした時に、悲壮感で、会釈もあいさつもなかった。あいさつしても他人が目に入っていない。何か悩みを持っていたのかなと」

 さらに、山上容疑者の隣の部屋に住む人は、ひと月前から不審な物音を聞くようになったといいます。

 隣に住む人:「木を切っているような、完全に手で切っているような音だった。キコキコ。それは、ここしばらく音がしてました」

 安倍元総理を狙ったのは、事件を起こした日だけではありませんでした。

 警察の取り調べに対し、山上容疑者は「前日岡山に行っていた」と供述。その日、安倍元総理は岡山県で応援演説をしていました。

 応援演説を見に来た男性:「事前に名刺とか持っている人は、そのまま会場のほうに入ってくれという感じで。(名刺を)持っていない人は、入り口で書いてくれと、一筆。名前と住所を。スタッフ自体は、20、30人はいたと思います」「(Q.SPと安倍元総理は同じステージ上に?)そうですね。SPの方は離れていますけど。(SPは)2人並ばれている感じですね。一方のほうに」

 山上容疑者は、「手荷物検査があり、会場に入らなかった」と供述しています。

■“宗教団体”に恨みか…「母親が破産」

 なぜ、執拗(しつよう)に安倍元総理を狙ったのでしょうか。

 山上容疑者:「殺そうと思ってやった。政治的信条以外の、安倍元総理の態度に不満を持っていた」

 そして、ある宗教団体の名前を挙げたといいます。

 山上容疑者:「母親が宗教に金を払いすぎて破産した。元々、トップを殺そうとした。安倍元総理が、その宗教団体と関係があると考え、殺そうと思った」

 親族によると、山上容疑者には両親と兄・妹がいましたが、幼い頃に父親が亡くなり、母親が宗教に入れ込むようになったといいます。

 山上容疑者の親族:「父親が亡くなった後、母が宗教に入った。その後、山上家を支えていた祖父が亡くなると、親族に対し、かなり激しい宗教への勧誘が来るようになった」

 そして7、8年前には、兄が亡くなったといいます。親族によると、その時、山上容疑者は…。

 山上容疑者の親族:「『何で、兄ちゃん死んだんや。あほやな。生きてたらいいことあるのに』と言っていた」

 宗教団体への恨みが、安倍元総理に向かったのか。
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